@せんだいメディアテーク(SMT)を思う

 かれこれ8~9年前だったか。
 友人2名と仙台に行ったことがあります。
 男2女1の珍道中だったのですが、1人
 は建築家の卵、1人は音楽家(学理)で、
 (ちなみに当方はファインアート出身)
 目的はずばりSMTです。
 3人とも建築好き。俗に言う『建築巡礼』
 のはしり。



 05_01.gif
  伊東豊雄氏のスケッチ~せんだいメディアテークの構造より



         

 SMTというのは、せんだいメディアテー
 クの略で、建築家の伊東豊雄さんが、
 仙台市のメディア複合施設のコンペで新
 しい構造を取り入れた異質な作品で勝ち、
 鳴り物入りで建てた”いわゆる”「箱もの」。
 コンペ作品の中でも伊東豊雄さんの作品
 が際立っていた様子が当時の建築本でも
 話題で、実際に見てみたかった3人の
 息が合いました。


 当時は、個人的に伊東豊雄さんの評価が
 つけづらく(偉そうですが)、ぼやけた
 建築家(もっと偉そう・・・)だったの
 ですが、SMTで評価が変わりました。
 そんな思い出深い建築です。


         

 仙台の繁華街の中心は、やはり国分町と
 言って過言ではないのです。その程近く、
 ケヤキが美しい定禅寺通りがあります。
 ケヤキの葉が落ちる冬、仙台名所の1つ
 である『光のイルミネーション』の通り
 といえば、想像が付くと思いますが、
 SMTはその定禅寺通りにあります。

 
 
 L3107490001043180.jpg 仙台冬の風物詩”光のイルミネーション”
 700px.jpg
 
 

 不思議なのは、
 そんな目抜き通りに存在しながら、中々
 見つけられない。最初に行った時には、
 建築の全容を見たくて、道の対岸を歩い
 ていたせいか通り過ぎてしまいました(汗)
 その4年後、1人で行った時には手前で
 うろうろする醜態。
 なぜか?


 理由は3つ。

 1つ目は、定禅寺通りケヤキ並木が立派
 で、建物が見つけ難い(苦笑) 


 2つ目は、ファサードにガラスを多用し
 ているので、ガラスに写り込んだケヤキ
 があたかも存在しているケヤキに見えて
 しまったり、空が写り込んでいたり、角
 度によってはガラス張りの向こう側の景
 色が見えるので、カモフラージュされ気
 付かない。

 3つ目は、のちほど。

 中には図書館であり、ギャラリーあり、
 シアターありの複合的なメディアセンター
 です。1階のホールは共有スペースで、
 飲食もできます。(当時はヒューガルデ
 ンのバーがありました)
 上の階には託児所もあり、勉強会を開催
 できるスペースもあります。

 東京にも、仙台のSMT規模よりも巨大な
 スペースが多々ありますが、
 ここSMTにはここにしかない”なにか”が
 あります。

         

 食い入るようにファサードで写真を撮り
 まくる友人、他に目を向けること無くホ
 ールに向かった友人、わたしは最上階か
 らじっくり観察しようとエレベーターに。
 それぞれの興味の湧くまま自然と別行動。
 エレベーターも徹底的に可視化され、ガ
 ラス張り。
 2階を通り過ぎ、ガラス越しに見える有
 機的な書庫に魅せられ、早々に最上階か
 らすぐ2階に引き返す始末。
 下る時も、階層があるようでないような、
 木のような柱で支えられたガラスの絨毯
 (幾層にも重なった)のように思えてな
 りません。

 2階はライブラリーで、映画を自由に観
 れるブースがあります。
 


 201104151724175a1.jpg
  せんだいメディアテークの模型
 


 はやる気持ちを抑え「どれどれ」と・・


 DVDの棚をちらちら見ると、欲しかった
 『デカローグ』の絶版ボックスが普通に
 所蔵。なんと『アンダルシアの犬(貸出
 中)』もある。
 そのまま市民に紛れ、いたって普通に
 視聴。。。


 ワタシ、いったい何やっているんだ。

 と無理やり現実に引き戻されたのは、
 友人に肩を叩かれたから。
 (気づかず40分も観ていたのだ)
 やむなく連れられ上階へ。

 
 "建築巡礼"の際、建築家と一緒だと倍
 楽しめます。
 この日、構造家佐々木睦朗氏の名前を頭
 にインプットしたのも言うまでもありま
 せんが、その後見た歴史的史跡の建造物
 との比較といい、感覚が知識で補われ、
 刺激があります。


         

 SMTの感想は、建築は面白かったです。
 建築家が作品を主張する建造物としての
 ボリュームよりも、仙台の街ににとけ込
 む配慮が細部まで垣間見れる粋な作品だ
 と感じました。
 見た目は、昨今の現代建築によく見られ
 る特有の素材(ガラスなど)で構成され
 ていますが、SMTの最大の特徴でもある
 構造としての”柱”が、まるで大木の幹の
 ように強弱のある線が変化しており、そ
 んな有機的な柱13本で建物を支えてい
 ます。見た目も斬新なのに、どことなく
 不思議な懐かしさもある。その感覚は、
 たとえ10年経っても変わりませんでし
 た。


 05_02.jpg
  SMT構造コンセプト~せんだいメディアテークの構造より



 帰京してSMTにまた行きたいなー
 とついつい思ってしまうのです。

 東京にある同じような複合施設と比べて、
 なぜここSMTに強く惹かれてしまうのだ
 ろうか考えてみますが、やはり仙台の街
 の一部になり得ていることなんじゃない
 かと思います。来館者は老若男女、様々
 な層の人に利用され、接点が生まれ、そ
 れぞれ派生し、その建築で見事に機能し
 ている点に尽きます。

 それはおそらく、
 ケンチクトイウノハ、建って完成ではな
 いから。建築家が、公共建築をどのよう
 な装置に仕立てたいかヴィジョンを明確
 に持っているときに生まれるのではない
 んじゃないか、と思います。
 立地性、歴史性、県(国)民性と規模とニ
 ーズと機能がマッチングした時に、建築
 が建物に求められた責務以上の役割を有
 します。

 SMTは人間が主役の装置として化します。


 05_15.gif
  SMT軸組図~せんだいメディアテークの構造より


         


 最後に忘れそうでしたが、
 わたしが思うSMTが容易く見つけられない
 3つ目の理由は、
 街にとけ込み過ぎて、自然過ぎてよそ者
 には見つけにくいのです。

 その潔さが東京にはない感じ。
 羨ましい・・・と後ろ髪を引かれる思い
 を感じながら仙台をあとにしました。


 これって、
 今風に言えば『負ける建築』だろうか。
 ただ、構造家の佐々木睦郎氏にとっての
 SMTはそれと少し違う感じだろうけども、
 やっぱりまた行きたいと思わせる何かが
 SMTにはあります。

 ミシュラン的には・・・
 ☆☆☆- それを味わう為に旅行する価値
      がある卓越した料理(建築
 

         


 ということで、震災後の仙台に訪れたか
 った大きなもう1つの理由は、SMT
 震災後大丈夫だったかが気になって気に
 なって・・・・
 
 次回、震災後のせんだいメディアテーク
 についてです!
 靴と全然違う話でスミマセン。

 
 <emma>
 
 
 
 2011041517204321f.jpg
  冬のSMT(冬は分かりやすいのね・・・)
 
 





 
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